2018年11月10日に参加した第5回南伊豆町100kmみちくさウルトラマラソン。その当日の様子やタイム、反省などを覚えている限り記載してみました。
これから参加される方にとって参考になれば幸いです。
というのも、この時の思い出は記さずにはいられません。
後から知ったことですが、ウルトラマラソン初参加にして、全ウルトラマラソンの中でもアップダウンが激しいと言われる 屈指のストイックコース…!
そんなことは聞いていなかった。
ただ比較的東京から近く、参加しやすいと思って申し込んだだけだった。
レース中にすれ違うランナーはみんな、ただただ絶望の顔をしていました。
一方で多くの方が書き込みをしているように、このレースの特長にもなっている各休憩所であるエイドでは、名産をたらふく食べ、レース中にも関わらず、お腹いっぱいに食べ続け、元気付けられるとても楽しい一幕も。
思わずウルトラマラソンにはまってしまいそうな経験をしてしまいました。
なお、高低図などのより詳細な情報は、公式HPに掲載されているパンフレットを確認するのがよいかと思います。
ウルトラマラソン経験者の方は、「ああ、初心者の人はこんな気持ちで参加してるのかあ。」と温かい目でご覧いただけると幸甚です。
長文ですが、最後尾近くには最後尾近くのドラマがある!
密度の濃いレースを楽しめたのではないかと思います。
【コース】
序盤はスタート地点からぐるっと伊豆半島南端の東側のエリアを回って、その後海岸を沿った後に北西へ向かう、大きく8の字を描くようなルート
※赤白ピン:スタート&ゴール地点(青野川ふるさと公園)
※赤色 :関門
※オレンジ:各エイド
※コース:100km
※制限時間:14時間
【スペック】
・マラソン経験
過去にフルマラソンを7回参加。ただし、自己ベストは4時間10分弱。
特に速い訳でもなく、今回も100km走破は達成したものの、公式には制限時間をオーバーしてしまい、リタイア扱いになったであろう程度の実力です。
・トレーニング
約3か月前ほど前から、週3回、平均10~15km程度のジョギング。
当日3週間前くらいには、一度だけフルマラソンも参加(4:20:00くらい)。
そのほか、それ以前から週1程度での10kmのジョギングや、月4回ほど野球かサッカーをしているような運動量です。
9月中旬にはインド旅行のため2週間ほど走らない時期がありました。
なおこのトレーニング期間に、体重を87kg→82kgまで落としました。
落ちた原因がインド式ダイエット(インド旅行中に、嘔吐と下痢を繰り返す減量法。おまけに現地の文化的に、あまりお酒と肉にありつけない)という話もありますが、少し運動好きなだけで、特別マラソンに熱心という訳ではないといったところです。
【前日】
イベント当日は朝5時スタートということで、一緒に参加するウルトラマラソン経験者でも知人の提案もあり、オフィシャルで催行している2泊3日のツアーを利用。
グループでの参加であれば、東京からレンタカーを借りるという選択肢もありましたが、その経験者の知人から「生きて帰りたいなら、絶対に止めた方がいい」と意見もあり、まったりバスで向かいます。
出発は朝の9:45@新宿。意外と早い。
バスの中はソロでの参加者や、常連と思われるグループまで様々。
横浜を経由しながら、現地の受付会場に着いたのは16時頃。
途中3回休憩を挟んだとはいえ、想像よりも長時間です。
しかもこの日は天候が悪く、ほぼ1日中雨模様。天城峠あたりではかなり激しく雨が打ち付けていました。
イベント当日は晴れ予報とはいえ、足元の悪さが気になります。
スタート地点となる公園から数百m離れた施設に設置された受付会場では、現地の名産などの参加賞やTシャツ、当日の荷物預け用のビニール袋などを受け取ります。手続きはすぐに完了。
このツアーでは宿泊地はスタート地点からバスで5分程度の場所にある、弓ヶ浜海岸近くに点在する民宿が指定されていました。 (ツアー参加者それぞれが別々のところに宿泊)
受付後、そのまま連れていってくれました。
途中、コンビニにも立ち寄ってくれ、2泊分の食料を調達。民宿の周りで買い物をするのは難しく、レース当日もその余裕はあまりないかと思うので、ここで2リットルのウーロン茶など、余裕をもって確保しておきたいところです。
民宿に着いた後は、温泉と夕食を楽しみながらまったり過ごします。
夕食はさすが南伊豆で、海の幸がふんだんに使われた食事が提供されました。
普段、納豆しか栄養源が無い自分にとっては約半年分の栄養を補給します。カニ汁だと!
晴れていたら、夕食前にちょっとした散歩もできたかもしれませんが、雨で特にやることもないので、夜の8時に早々に就寝。
バスの中も含めてただただ寝ただけの一日です。
半年分の栄養と共に、2日分の睡眠を取り、子どもだったら、これはもうすくすく元気に育ちそうです。
【当日】
朝は民宿エリアから30分に1本程度の頻度で出ているイベント専用バスで会場へ。
ちなみに自分達は2:45起床の3:45発。
この時には雨も上がり、夜空には満点の星空が広がっていました。
自分にしては珍しく、これは持っていました。
ちなみに気象庁の記録を見てみると、この時期にしてはかなり気温が高い方とはいえ、スタート時からゴールまでほぼ19~23℃内に収まる、比較的恵まれていたコンディションだったかと思います。
風もそれほど強いわけでもありませんでした。ただそれでもかなり暑かったけれど…
ツアー参加者は、現地のテントでおにぎりとバナナ、お茶を入手可能。
ツアー参加者の数に対して、どう考えてもそれ以上の圧倒的な量が用意されていたので、他にも入手できる手段があるでしょうか。
ちなみに最寄りのコンビニまで、歩いて片道10分弱ではないかと思います。
現地に着いてから買い出しに行こうと思えばギリギリ行ける距離。
マラソンで毎回頭を悩ませるのがトイレ問題ですが、小であれば男性は並ばずに元々公園に建てられているトイレで済ますことができました。
逆に仮設の方が並んでいます。確かに元のトイレは少しだけ陰に隠れたところにあるけれど。
でもやっぱり大は並んでいます。
【スタート】(0.0km)青野川ふるさと公園 ~ 【1】(6.7km/0:42:25)一条竹の子村
楽しさ:★★★☆☆
辛さ :★☆☆☆☆
まだ薄暗い朝5時にスタート。この時だけ一帯では一時的に霧がかかっていました。
コースは初めの2~3kmほどは平坦な道が続き、徐々に登り坂に。
街灯はポツポツとあるものの、真っ暗な中をヘッドライトを頼りに進むのは新鮮な経験。
さらには、朝5時の低いテンションとチャレンジングなイベントが始まったという興奮がいい感じに混じりあって、非日常感を演出してくれています。
周りではグループで参加している人達がこの日のためのトレーニングの状況などの会話をしています。
みんなウォーミングアップを兼ね、楽しくマイペースで進んでいる区間でもあります。
この時、自分はまだ集団のど真ん中辺りにいましたが、最後尾とか周りに人がいないと少し怖いかも…。
話によると夜間は動物に遭遇するリスクがあるそうです。
気付けば一緒に参加した知人は、どこか後ろの方へいってしまっている…!
すでに個人戦が始まってしまいました。
おそらく集団の真ん中くらいで到着した初エイドではお汁粉を堪能。
まだまだ気温が寒いので温かい食べ物が助かります。
そして世も明ける前から準備をしてくれることに、久しぶりに人に感謝することを思い出します。
実際、レース中常にかなり後方を走っていた自分でさえ、各エイドで食べ物がなくなるようなこともなく、体力を補充し続けることができていました。
特に後半はほぼ最後尾に近いポジションで、各エイドに到着していたので…。
トイレは各エイドにあり、道中でも時々見かけましたが、ここは小は並ばず、大でも数人並んでいる様子でした。やはりスタート直後は、常にトイレのタイミングがポイントになりますね。
ただ長期戦のフルマラソンであれば、数人の並び位は誤差か…??
【1】(6.7km/0:48:21)一条竹の子村 ~ 【2】(13.6km/1:30:58)大浜・駐車場
楽しさ:★★★☆☆
辛さ :★★☆☆☆
初エイドを出ると、登り坂がどんどん急になってきます。
周りのランナーのペースも遅くなってきて、自力の差が出始めてきます。
試してみたところ早歩きでも大してペースが変わらなかったので、思い切って走るのを諦め早歩きでガシガシ進んでみます。
おそらくこの割り切りきって歩く進み方は、体力温存のためにも良かったと思います。そのくらい各所の坂が大変。
10分ほど続く登りの先の峠に当たるトンネルを越えた辺りで空も明るくなりはじめ、霧も晴れてきます。
この時の下り坂で、一気にスピードを上げて颯爽と抜き去っていくランナーもちらほら。
自分は安定のまったりペース。
下った後は、大通り沿いなどの比較的平坦な道を数km進み、第2エイドへ。
周りもまだまだグループで走っている人が散見されます。
空が明るくなり、平地も多く、気温も適度な涼しさで爽やかに走ることができた区間です。
【2】(13.6km/1:33:59)大浜・駐車場 ~ 【2.5】(?km/2:28:04)弓ヶ浜エイド
楽しさ:★★★★☆
辛さ :★★☆☆☆
公式パンフレットに載っていない弓ヶ浜海岸にあるエイドまでの区間。
この区間の序盤での海岸沿いの道を進んで行くタイミングが、ちょうど日の出の時間帯に当たり、よい景色が見られます。
第2エイドから見えた日の出
海岸沿いの道から撮影。他のランナーも足を止めて撮影を始めます。
そして、この辺りからいよいよこの南伊豆ウルトラマラソンのルートが本当にシャレになっていないことに気付き始めます。
細かいアップダウンが出始め、平坦な道が無くなってきます。
数km走った後は、南伊豆ウルトラマラソンのハイライトの1つでもある盥岬へ。
この辺りはアスファルト道から離れた遊歩道ということもあって、まるでトレランのようなコース。
海岸ギリギリの岩場を進むところもあり、物理的にも進むのが厳しい。
もう、あまりの興奮に、思わずブレブレの画像…!
地面が前日に降っていた雨のせいでかなりぬかるんでいるので、足元が滑ります。
そのような中、途中の展望スポットに出ると、綺麗な景色が広がります。
ここでは一休みして記念撮影をしているランナーも多数。
この南伊豆ウルトラマラソンは要所要所で綺麗な景色に出会うことができて、走っていて楽しいのも、個人的には嬉しいポイント。
鬼畜コースながら、初心者の自分でも思わず走り続けることができたのではないかと思います。
ここの担当であった案内スタッフの人が、かなり大きなドローンを持っていたけれど、飛ばしたんですかね。ここでドローンをうまく操縦できれば気持ちよさそう。きっと規制されていないでしょう。
そしてこの辺りから同じ時刻にスタートして、別ルートを行っていた78kmのランナーを見かけ始めてきました。
うおー、どんどん行くぞー。
ようやく遊歩道ゾーンを突破すると、すぐ海岸の脇を進みます。
トータルで1時間くらいかかった長い区間でしたが、そのうち半分くらいの時間は歩いていたような記憶があります。
そしてこのすぐ後に、弓ヶ浜エイド(仮称)が見えてきます。
【2.5】(?km/2:29:45)弓ヶ浜エイド ~ 【3】(22.3km/2:49:42)手石・伊豆漁港
楽しさ:★★★☆☆
辛さ :★☆☆☆☆
約20分ほどの短い区間。
弓ヶ浜地区ということで、自分たちの宿泊先の民宿から1本ずれたような道を走ります。
この時、スタートから2時間半を超えているので、このまま民宿に戻って寝たい衝動に駆られます。
ここのコース自体は海岸のすぐそばを走るので、全体を通してみると貴重なほぼフラットなエリア。(この時は、そんなことを知る由もなかったですが…)
100km、78kmランナーのスタートから2時間後にスタートし始めた66kmランナーとも合流し始め、周囲のランナーの数も多くなってきます。
この辺りになると100kmランナーは、もうグループで走っているような人はかなり少なくなってきた印象。周囲の人たちも個人戦になっています。
ただし、この時の自分の位置が既にボリュームゾーンよりも少し遅めだったようにも思えるので、きっとまだまだ余裕のある少し先を走っている人たちは、グループで走り続けていたかもしれません。
短いエリアなので、特に大きな問題なく通り抜けますが、徐々に足の疲労を感じ始め、屈伸などをするようになってきました。
手石・伊豆漁港エイドでは、このエイドならでは魚の干物が提供されています。口の中の水分が全部持っていかれますが、エネルギーを欲しているのか、思ったよりもすんなり食べられます。にしても、贅沢な魚の使い方…!
【3】(22.3km/2:51:50)手石・伊豆漁港 ~ 【4】(26.1km/3:20:41)大瀬・アロエセンター
楽しさ:★★★★☆
辛さ :★★☆☆☆
地図上ではほかの区間よりも長く見えますが、海岸沿いに伸びる道のためか、実際は4kmほどと思ったよりも短い行程。
ただしこのような海岸沿いのルートでも、細かくて急なアップダウンが何度も登場。
地図だけを見ると変哲の無い道に見えますが、体力はどんどん持っていかれます。初志貫徹で急な上り坂では早歩きを徹底して、少しでも足のダメージを減らすように努めます。
一方、見える景色は海沿いで開放感があり、元々「南伊豆」という単語を聞いてイメージしていたような風景が広がります。
3種の距離のすべてのコースがちょうど重なるタイミングで、周りには多くのランナーがいて賑やかな雰囲気もあり、イベント感満載です。
78kmや66kmの参加者は、まだグループを組んで走っている人が多いですが、100kmの参加者はどんどんソロで走っている人が多くなっています。
また、朝の8時台になってきたこともあり、沿道から応援してくれる人も増えてきたのが元気づけられます。
大瀬・アロエセンターエイドで提供されていたこのうどんが、本当に助かりました。
ちょうど朝食のタイミングで、お腹に溜まる一品ということもあり、2杯がっつりいかせていただきました。ありがとうございます。そして美味しい。
後で他の参加者の方と話しても、このうどんは特に思い出に残っているようです。
そんなまったり食事を楽しんでいたこの頃、実は徐々に第一関門の制限時間が迫っていました(制限時間はスタートから4時間後)。
走る前の想定で
「さすがに30km弱の距離で4時間あったら、この関門は余裕で突破できるだろ」
と、たかをくくっていたため、あまりタイムを気にしていませんでした。危なかった。
【4】(26.1km/3:25:42)大瀬・アロエセンター ~ 【5】(28.1km/3:34:30)石廊崎駐車場
楽しさ:★★☆☆☆
辛さ :★★☆☆☆
おそらくこのウルトラマラソンで二番目に短い区間。
何といっても、ここの石廊崎駐車場エイドで気を付けないといけないのは第一関門の存在。スタートから4時間後にあたる9時までに到着できなければ、強制リタイアになってしまいます。
元々何の心配もしていなかったのに、到着した時には残り25分ほどまで近づいていました。電光掲示板を見るまで気付かなかった。迂闊でした。
関門が閉まる準備が着々と進められています。
エイドでは温かいスープなどのほか、ここに来て初めて?コーラが提供されていました。
この後も炭酸飲料には何度も助けられます。
【5】(28.1km/3:37:46)石廊崎駐車場 ~ 【6】(32.5km/4:14:40)奥石廊崎・ジオパーク
楽しさ:★★★★★
辛さ :★★★☆☆
伊豆半島最南端の石廊崎に到達する、南伊豆ウルトラマラソンの一番のハイライト。
昨年は天候が悪く、途中で引き返すルートになっていたそうですが、この日は天候もいいため、先端まで行くことができます。
どう見ても露光を誤っていますが、開放感たっぷり。
通常の観光客の方も観光していますが、ぞろぞろと走ってくるランナーにきっと何事かと思っているかと思います。
9時前に石廊崎を観光するなんて、なんて気合が入っているんだ!
この直前の関門が9時で閉まるのも、観光客対策ということでしょうか。
石廊崎から左右を見渡した時に、改めてここら一体がジオパークということを認識させてくれます。これまで南伊豆がここまで変化に富んだ地形だとは思っていませんでした。
自然豊かな地域中心にバックパック旅行している旅好きな自分としては、とても印象に残っている場所です。
ちなみに石廊崎は折り返しになっていて、前後5分くらいのランナーとすれ違うことができるので、はぐれた知人と会うことができるチャンスかもしれません。
ちなみに自分の知人はまったく見かけませんでした。おい、大丈夫か?! 関門につかまってるんじゃないか?!
石廊崎から道路へ戻ってくると、しばらくの間、登り坂や森林地帯を通過していきます。
そして、エイドが近づいてきたと思ったその時、突然道路脇の丘を登る階段を案内されます。
な、なんだ!
その理由は、これまた南伊豆ウルトラマラソンのパンフレットなどでよく紹介されている、写真の鐘のある景観スポットへの誘導でした。
コース的には明らかに寄り道となるので、疲れたランナーや自分からは「いちいち登らせなくても…」という声が聞こえてきますが、森林地帯を越えて再び開放感のあるよい景観の場所であるので、テンションは高まってきます。
ランナーも多くて賑やかだし。
写真に写っている鐘のちょうど下に、次の奥石廊崎・ジオパークエイドが見えています。
一方、この辺りはフルマラソンで鬼門となっている30kmを越えてくるタイミングなので、さらに足が疲れ始めてきていることを実感。
後から振り返ってみると、石廊崎を過ぎた直後の登り坂で、だいぶダメージを喰らっていた気がします。
コース全体で見ると、この辺りはそこまで大きな坂ではなかったですが、いよいよ本格的に体力との勝負の段階になってきました。
奥石廊崎・ジオパークエイドではメロンパンを美味しくいただきました。
(無駄に体のでかい自分にとって?)一口サイズに切っていただいています。
ありがとうございます。
【6】(32.5km/4:18:04)奥石廊崎・ジオパーク ~ 【7】(35.2km/4:37:44)中木・生活改善センター
楽しさ:★★★☆☆
辛さ :★★☆☆☆
この区間はトンネルを越えたりしながら、ルートのほとんどは下り坂。
足の負担さえなければ、全体的には非常に楽なルート。
また、途中は中木エリアへの折り返しがあることもあり、多くのランナーとすれ違う行程でもあります。
実際、途中で知り合いと別々になったと思われる多くのランナーが、すれ違いながら挨拶を交わす牧歌的な光景も多く見られます。
自分はというと、エイドの直前300mほどのところにあったにあった公衆トイレで並んだため、距離に対して、少し時間がかかってしまっています。
中木エリアは海岸沿い。
このコースでは、数十mを一気に下りることになります。
【7】(35.2km/4:40:26)中木・生活改善センター ~ 【8】(39.4km/5:09:13)差田・ことぶき商店
楽しさ:★★☆☆☆
辛さ :★★★☆☆
海岸沿いの中木エリアを後にして、来た時と同じ道であるダラダラとした登り坂を過ぎて大通りに戻ると、一気に傾斜が急な登り坂に。
ここでは、少なくとも自分の前後のランナーに関しては、ほぼ100%歩いていました。無理をするところではないように思われます。
その後峠を超えて、下り坂になっても蓄積された足のダメージは回復せず。
この辺りから慢性的に足が痛かった記憶があります。
この区間は4kmほどの短めの距離でしたが、妙に長く感じました。
差田・ことぶき商店エイドで提供された獅子汁が目玉の一品。
ここでは、みんなかなりがっつり休んでいる様子でした。
後から記録を見返すと、自分も7分間休んでますね。
【8】(39.4km/5:16:07)差田・ことぶき商店 ~ 【9】(43.0km/5:39:04)上小野公会堂
楽しさ:★★☆☆☆
辛さ :★★★☆☆
緩いアップダウンが続く区間。
この前後の区間は南伊豆ウルトラマラソンのコースの中でも、比較的走りやすい区間かと思います。
気付けばいつのまにかフルマラソンの距離を超えています。
そしてこの時自分に起きた異変として、膝が痛み始めてきました。
慢性的に感じていた足の疲れを超えて、明らかな怪我といったところ。
ちなみに走り終わってから1週間以上経った今でも、膝の痛みがやや残っています。
これまでフルマラソンを走ってもそのようなことは無かったですが、アップダウンの影響でしょうか。
この区間は比較的平坦なルートだったと思いますが、自分にとっては膝の痛さの始まり、という思い出のみが残る区間になってしまいました…!
にしても、この記事長いですね。
まだ半分も行っていないのかっ!
【9】(43.0km/5:40:59)上小野公会堂 ~ 【10】(45.2km/5:54:28)農協南上店前
楽しさ:★★☆☆☆
辛さ :★★★☆☆
前の区間と同様、全体からしてみたらかなり平坦な道のりが続きます。
振り返るとこれまで木々に覆われた区間を走ってきましたが、この辺りは日差しを遮るものが少なく、時刻も11時頃になってきたこともあり、暑さを感じ始めてきます。
この先の農協南上店前エイドの名物は、おそらく温州みかん。
テンションの高いスタッフの方が「とりあえずみかんが美味い!」と連呼していて、
「そんなこと言ってでも実は酸っぱいんでしょう??」
と思いながら口に入れると、本当に甘くて美味かった。
伊豆半島もミカン栽培をしているところが多そうですが、そこから調達されたんですかね。どうなんでしょう。
とりあえずまったり2個いただきます。
しかしこの時はまだ、この先の地獄が近づいていることなんて知る由もありませんでした…。
【10】(45.2km/6:03:26)農協南上店前 ~ 【11】(50.1km/6:41:41)青野大師ダム駐車場
楽しさ:★★☆☆☆
辛さ :★★★★☆
スタートしてしばらくは比較的平坦な道が続きますが、突然100kmの参加者だけ係員に別ルートへ誘導されます。
機嫌良くそのまま真っ直ぐ向かうランナーを横目に、強制的に右側へ向かう寄り道コースへ。
これはかなり精神的にも来た…!
地図を見てもMAP11番の辺りで、どう考えても距離を調整するためとしか思えない妙な折り返しをしている個所があります。
なんだ…、なんなんだこの妙な折り返しは…。
寄り道ルートを進んでいると、前からは既に折り返してくるランナーの姿が。おそらく自分よりも1時間ほど早いペースで到達していることでしょう。
軽く挨拶を交わしながら進みます。
ただ心なしか。みんなの顔は生気が無い気がします。
それもそのはず当のこの折り返しルート、初めのうちは「少し登り坂がきついか…」と感じる程度でしたが、途中から徐々に本領を発揮してきます。
写真では分かりづらいですが、途中から山道のようになり、仮に普通の状態だったとしても、とてもじゃないけれど走れないほどの急な斜面が続きます。
イメージでは、この画像から受ける印象の倍くらいの角度の登り。
何でもこのルートの先の折り返しポイントにはダムがあるらしいです。
前後のランナーもみんな諦めて歩き始めています。
厄介なことにこの区間では肉体的ダメージだけでなく、精神的ダメージも喰らうことになります。
この急坂も10分くらい登り、「まあまあ進んだかな」と思い始めた時に、1回だけ木々の間から折り返しポイントのダムらしきものが遥か彼方に見える時があります。
一言で言うなら、見えなきゃよかった。
公式パンフレットを見ると、この区間では標高差150m程度を一気に登ることになるようです。
フルマラソンではなかなかお目にかかれない標高差。
この区間に関しては、自分くらいのペースの人にとっては無理に走ることなく、割り切って体力温存しながら多少歩き続けてもよいかもしれません。
また、この辺りは木々に囲まれていて、暑い時間帯に日陰を進むことができるのは、数少ないポジティブポイントでした。
そんなこんなでこの区間の多くを歩き通し、折り返しポイントとなるダムをぐるっと回り、ようやく下りへ。
観光客向けのダムカード受付の楽しそうな案内が、この時はとても無情に感じます。
エイドはダムの下まで下りてきたところにありました。
後から振り返ってみて、各エイドの中で周りの参加者が一番嘆いていたのはこのエイドだったかもしれません。
ちょうど中間点となる50kmほどに位置するエイドで、「まだ半分かよ…。」という独り言とも言えない、思わず漏れ出る魂の叫びが周りから聞こえます…。
そして、スタッフからこの後の60km過ぎにもっとひどい登り坂がある情報を聞いて、さらなる嘆きが…。
100km参加者だけが味合わせられる、この理不尽な急坂ルートに、ランナー同士で妙な一体感が生まれていました。
自分もここではコーラを2杯がぶ飲みです。ここはきつかったな…。
この辺りになってくると第2関門も気になり始めます。残り28kmほどで、残り時間は4時間強。
普通に考えると余裕がありそうで、自分もこの時はガクガク震える足の疲れを感じながらも、「あ、これはいけそう」なんて思っていました。
ただ、ハッキリ言って見通しが甘すぎでした。
このダムの区間、言ってもまだ前半戦なんですよね…。
また、冷静になって考えたら、ちょうど半分くらいで、制限時間14時間の47~48%程度使ってしまっているんですよね。制限時間内にゴールしたければ、あと30分は早く、6時間を少し過ぎる程度では到達しておきたいところかと思います。
【11】(50.1km/6:44:38)青野大師ダム駐車場 ~ 【12】(57.3km/7:36:30)蛇石・斉藤商店
楽しさ:★★☆☆☆
辛さ :★★★☆☆
南伊豆ウルトラマラソンの中で屈指の長い距離の区間。
ところどころに住宅や農地が広がるエリアを約7kmを走り抜けていきます。
ルートの初めのうちはダムの辺りから一気に駆け降りるので、まあまあのスピードを出せます。
しかし、脇道に入る前の元の全ランナーが走る通りに戻ると、相変わらずの小刻みのアップダウンルートに。
ベトナムの山岳地帯のサイクリングを思い出します。
日差しも完全に戻り、走力が求められるようになります。
心が折れてばっかりですが、さらにこの時、はるか4つ前のエイドの辺りで抜かしたはずの、他の78kmや66kmコースのランナーが既に自分の前を走っているのを見かけた時、かなりの精神的ダメージを受けました。
走っても走っても、前に進んでいる気がしない!
100kmランナーのために用意された独自の寄り道ルートに費やしていた時間は約1時間。
自分で申し込んでおきながら、精神的に厳しい一時でありました。
その後のこの区間は記憶は、ただただ長かった。
記録を意識するのであれば、比較的走りやすいルートがずっと続くので、さっと通り過ぎておきたい重要なポイントとなりそうです。
ただし、良くも悪くも普通のルートなので、足の痛み以外の何か刺激が欲しいところでもあります。
やっとこさ着いた通称「ろーそん」エイドは、この区間の長さによる疲労に加え、この先の長い長い登り坂に備えてか、多くのランナーがガッツリ休息を取っているようでした。
おでんや豚汁、チョコレートが提供され、さらには自動販売機など、ゆっくりしたくなる環境も整っています。
【12】(57.3km/7:44:17)蛇石・斉藤商店 ~ 【13】(62.7km/8:40:48)長者ヶ原・山ツツジ公園
楽しさ:★★☆☆☆
辛さ :★★★★☆
おそらくこのウルトラマラソンの悪い意味での(!)ハイライトの一つ。
標高差400m位を一気に、駆け(歩き!)上がっていく区間。
No.11辺りのダムの区間でも150m程度だったので、どれだけ急な登り坂が延々と続くのか、何となくお分かりいただけるのではないかと思います。
この区間も、全く走れないので、ほぼ皆歩いています。
タイムを振り返ってみると、5km強の行程で1時間近くかかっています。
やばい、次の関門に間に合うのか…これ…??
途中からは、もはや舗装路でもなくなり、山の中に入っていきます。ただただ登り続けます。もはや登山。
この時は、絶対にみんな思っていたはずです。
「絶対に他にいいルートあるだろ。」
この区間では、気が焦りながらもあまりにずっと長く歩き続けていたので、途中で写真を撮ることも忘れてしまっていました。
そんな山道を40~50分くらい歩いたところで、NTTの中継所への分岐がある、このルートの最高峰へ。
「ここから下りだ!」
と期待したのもつかの間、今度はあまりの急坂で、走り始めると自分の体重を支え切れず、体がふらふらとよろめいてしまいます。
結局、折角の下り坂も歩かざるをえない状況でした。
この辺りで走れるかどうかも、タイムを競う上では重要なポイントのように思われます。
這う這うの体で到着した長者ヶ原・山ツツジ公園エイドでは、スタッフのおばあちゃんから「大丈夫? 嫌にならなかった?」と声をかけられました。
きっと、これまで既に到達していたランナーからものすごい負のオーラが滲み出ていて、おばあちゃんにバシバシ伝わっていたことが分かります(笑)
ここのエイドではお餅を焼いてお汁粉にしてくれていました。
これも体力回復出来て、そして美味しかった。
途切れることなく何かを食べることができていましたが、食べ過ぎてお腹が痛くなるようなことは無かったかと思います。胃腸が強い方はどんどん食べることをお勧めします。責任は持ちませんが!
あと、ここでも恒例のコーラを。
後から振り返るとここでトイレに行っておけばよかった。
次の区間が短いので「次でいいや」と思っていたのが仇となりました。
【13】(62.7km/8:46:20)長者ヶ原・山ツツジ公園 ~ 【14】(64.2km/8:56:57)天神原・集会所
楽しさ:★★☆☆☆
辛さ :★★☆☆☆
ここは1.5kmほどの、南伊豆ウルトラマラソンの中でも最短区間。
まだまだ山下りの延長線のため、本来であれば一気に下れるかと思います。
途中から久しぶりの住宅地が見えて、俗世界に戻ってきた安心感があります。
このエイドではチャーシューを提供。貴重な肉…! うおおっ、肉だ!肉だ!
ここでは前のエイドで「次でいいや」と思っていたトイレに行きたかったのですが、数人が並んでいるのに加え、屋内で靴を脱がなくてはならないスタイル。
時間も余裕が無く、足の負担を少しでも減らしたい自分は、諦めてそのまま出発し始めます。
次のエイドまでは5kmくらいだから大丈夫かな、と思っていたそういう時に限って、いつも以上にどんどんいきたくなるんですよね。
【14】(64.2km/8:59:49)天神原・集会所 ~ 【15】(69.8km/9:43:59)雲見・浅間神社駐車場
楽しさ:★★☆☆☆
辛さ :★★★★☆
比較的長めの5km超区間。
ここで全体の2/3を走破することになります。
この区間の特徴は次の雲見・浅間神社駐車場エイドまで、初めのダラダラとした下りから、途中から一気に海岸近くまで下ることになります。行程のほぼすべてが下り坂。
それでも、45分近くかかっているのが、体のボロボロ具合を物語っています。
そしてこの区間を語る上で忘れてはならないのが、この一気に下るルートが次の区間ではそのまま単純往復で戻ってくることになり、下った分は後から登ることを意味すること。
既に折り返して登ってきているランナーとすれ違うと、みんなかなり辛そうな顔をしています。
初めのうちは漠然と「やっぱりみんな、ここまで来ると辛いんだな…」程度に思ってましたが、下れば下るほどその真意が分かってきます。
「おい、まじかよ。これまた登るのかよ。」
どこまでの続く下り坂(=登り坂)。
ここを単純往復させるくらいなら、やっぱり絶対に他のルートがあったのではないか。
ついさっきの山道区間でも感じた思いがまたもや湧き上がってきます。
敢えてここを選択した自他ともに認めている(!)主催者の性格の悪さが滲み溢れて、もう洪水を起こしています。
あまりのきつさに、ここでも写真を撮ることを忘れています。
そしていよいよ本格的に気になってくる次の関門までの制限時間。
3時間ほど前に走っていたダムの辺りでは「いけるかも」なんて思っていましたが、想定よりもずっと時間がかかってしまっていました。
急坂を足を引きずりながら前へ前へ進んでいきます。
ちなみに、前のエイドで諦めたトイレに関して、下り坂が一気に急になる直前の公園の入り口に公衆トイレがあったので助かりました。
おそらくここに公衆トイレが無かったら、途中で漏らしていたことでしょう。足も痛いし。
下り坂を下りきって、住宅街を少しだけ登った先にあるエイドに到着した時には、関門閉鎖まで残り75分。
そして次なる区間は約8km。
ルートは下りてきたばっかりの急な登り坂。
この時、周りのランナーやスタッフは、次の関門に間に合うかどうかの話でもちきりです。
話によると次の関門に到達するためには、これまで下ってきた急坂を登った後、一旦下った先にさらにまた別の峠を越えなくてはならないとのことでした。
2回もアップダウンがあるのかよ…。
ここでのやり取りで一つ確信したことは、冗談抜きでリアルにギリギリのラインにいることでした。
どこまでも精神力を試されます…
誰だよ、ほんとダムの辺りで「いけるかも」なんて思ってたやつは…。
【15】(69.8km/9:46:48)雲見・浅間神社駐車場 ~ 【16】(78.0km/10:53:37)波勝崎・波勝崎苑
楽しさ:★★★☆☆
辛さ :★★★★★・・・
休憩もそこそこに出発し始めます。
この登りは本当に辛かった。
これまでであれば、絶対に歩いていたようなルートでしたが、そうも言ってられず、半分歩いて半分走るスタンス。
登り坂をそのまま登ろうとすると膝が痛むので、何とか痛まずに足を伸ばせる膝と足首の角度を探し出します。
このウルトラマラソンを通じて、トップレベルで辛かった時間帯だったかもしれません。
この間、前のエイドで同じタイミングで到着していたランナーが3人ほどいましたが、そのうち1人は根性を見せて、自分よりもはるか彼方へ。
残りの2人は、おそらく途中で諦めてしまったのではないかと思います。なんとシビアな…。本当にギリギリ…。
この区間は本当に根性との闘い。
そして走りたくても、急坂で物理的に走れないという焦り。
途中からは、この単純往復ルートをすれ違う人が全くいなくなりました。
自分がほぼ最終集団にいることを、この時初めて肌感覚で理解しました。
心を無にしながらやっとこさ急坂を超え、大通りに合流した後は、10分ほどのつかの間の下りを駆け抜けます。
そして、間もなく大通りから脇道に逸れ、話に聞いていた2つ目の峠に差し掛かります。
ここは野生の猿が多く、これまたパンフレットなどで多く掲載されています。
自分も何匹か見かけましたが、パンフレットに掲載されているような楽しそうな写真を撮る余裕も無く…、唯一2つ目の峠の頂上付近から見えた風光明媚な風景の写真だけ撮影しました。
気付けば時刻も16時近くになり、日差しも傾き始めています。
関門突破ギリギリのタイムを走る、周囲のランナーを見ると様々な思いが交錯しているのを感じます。
意地でも到着しようとする人、完全に足を引きずって諦めてしまっている人、知人と一緒に走り続けお互いに励ましあっている人…。
その追い詰められた人間が醸し出す雰囲気は、トップ集団には無い、もう一つのウルトラマラソンの魅力かもしれません。
きっと参加者の分だけドラマがある!
この時、極限状態に近い自分自身はそんなことを言っている余裕は全く無かったのですが、後から振り返るとそう思わずにはいられません。
一方この区間、個人的にラッキーだったのは、下りの時にはゆっくりでも走り続けることができたこと。
また、関門までまだ数kmありそうな地点を走っている時、ちょうど同じくらいのペースで、以前に参加したことがある様子の、関門に間に合わせるためにペース配分を計算できる二人組のランナーについていくことができたことでしょうか。
彼らの会話を聞いて、この先どの程度のペースで走ればいいかを掴むことができました。
その結果、1時間以上かけながらも、残り6分30秒という、ややギリギリのラインで通過することができました。良かった…。
もし彼らがいなかったら、距離感が掴めず、途中で心が折れていたかもしれません。
周囲にはこの関門突破を機に、満足したのかそのままリタイアバスで帰る人もいたようです。
また、関門が締まった後に、自分がこれまで何度も抜きつ抜かれつしていたランナーが次々と到着する様子も。
みんな涙こそ流すようなことは無いですが、満足感と悔しさが混じる、箱根駅伝の繰り上げスタートのような感動がありました。
この二つ目の関門も、本当にシビアでした…。ウルトラマラソンの関門ってシビアですね…
【16】(78.0km/11:04:28)波勝崎・波勝崎苑 ~ 【17】(80.7km/11:30:00頃?※詳細データなし)伊浜・バス退避所
楽しさ:★★★★☆
辛さ :★★★☆☆
スタート後、少し登った後は、右手に太平洋が広がる風景を望みながら進んでいきます。
タイムギリギリに関門を突破した数少ないメリットの一つに、このちょうど陽が落ちるタイミングで、海岸沿いを走ることが挙げられます。
ランナーだけでなく、この夕日の写真を収めるために、わざわざやってきたであろうカメラマンの姿も見えます。
振り返って自分が撮影した写真を見てみると、ちょうどランナーの姿は全然ないですね。
3種の距離の全ランナーが走る区間のはずですが、実際ぽつりぽつりとなっていました。
この行程自体は、出発直後以外は基本下りor平坦、さらには2.7kmという短距離区間のため、ルート自体はそこまで厳しくはありません。
ただこの時、手元のストップウォッチを止めることを忘れるくらいには疲れていました。
下り坂で2.7kmなのに25分近くかかるペースに…。果たしてゴールができるのか…。ここからゴールまであと20km!
【17】(80.7km/11:30:00頃? ※詳細データなし)伊浜・バス退避所 ~ 【18】(83.3km/11:59:00頃? ※詳細データなし)一丁田信号手前
楽しさ:★★★☆☆
辛さ :★★★★☆
撤収準備が始まる様子のエイドを後に、次の行程へ。
この区間は再び高低差200m程度の坂を一気に上ります。
終盤に差し掛かったこのタイミングでの200mの登りは非常に堪えます。ダム区間よりも登るのか…。
数少ない周りのランナーも、基本ずっと歩いています。
この辺りになると、前の関門でリタイアした人が多いせいか、何となく周りのランナーを覚えてきます。おそらく自分の前後3分ずつほどには、全てコースのランナーを合わせても10人くらいしかいなかったのではないかと思われます。
坂を登りながら見る夕日は、今にも沈もうとしています。こんな見事で綺麗な夕日をみることもあまりありません。
暗くなってくるとこの辺りは街灯なども少なく、体力の限界を感じていたことも相まって、アドレナリンがどんどん減っていきます。
「でも世にあるウルトラマラソンの中でも、こんなに綺麗な夕日を見れるのは少ないのでは? そうだ、これは参加者の特権なんだ!」
と自分に言い聞かせて、何とか前へ進んでいきます。
ウルトラマラソンに参加する前に、とある人からウルトラマラソンを完走する秘訣は「『何でこんなものに参加したんだ?!』と思わないこと」と、と言っていましたが、その意味が分かってきます。
ここまで来たらもうゴールのことばかり考えます。
その後、周りは暗くなり写真も撮れなくなってきました。ただただ急な坂を登っていきます。
この区間で走っていたのは5分も無いかもしれません。
歩いていただけなので、息が切れるような苦しみは無いですが、体は完全に壊れかけのロボット状態。
ギシギシという音が聞こえるような気がします。
登り切った先にあるエイドはコースから少し左に入った登り坂の先に設置されていました。
ここは本来、おそらく全エイドの中でも屈指の人気スポット。
パンフレットによると猪肉BBQ、キノコ飯おにおぎり、カレーライスなどが提供されていて、エイドというよりも、さながらアウトドアレジャーといった印象です。
自分もパンフレットが届いた段階で「ここまでは到達したい!」と目を付けていたところでした。
実際この場所には、ゆっくりしたくなるような木の椅子などがあり、時間があったら、終盤戦に備えて態勢を整えたいようなエイドです。
ただこの時は、既に設置終了時間を迎え、お目当ての猪肉BBQも提供終了。
ゴールを目指すにはじっくり休む時間は無し…。
残っていたカレーとコーラをかき込み、すぐに出発します。ああ…残念だ…。
ただこのエイドでは、自分が到達していた時間は既に設置時間が終了していたのにも関わらず、スタッフの方々が「まだ来るランナーいるから、もう少し続けよう!」と声を掛け合っていました。
実際自分もカレーをいただくことができましたし、本当にありがたいです。
このウルトラマラソンでは人に感謝をすることを思い出しましたが、本当に各エイドの方々には助けられました。最後尾付近より改めて感謝申し上げます。
しかし現実は、時間内ゴールがかなりギリギリ、むしろこのままだと無理という状況。
周囲のランナーとどこまで頑張る意志があるかを確認しあいました。
自分はどこまでいけるか分からないものの、
「とりあえず行けるところまで。」
としか答えられず、何とか次の区間へ向かいます。
【18】(83.3km/12:02:00頃? ※詳細データなし)一丁田信号手前 ~ 【19】(87.2km/12:36:14)子浦駐車場
楽しさ:★★☆☆☆
辛さ :★★★★☆
前の区間で、一気に200mほど上がった標高を一気に下りていく区間。
完全に真っ暗な中、大通りを走ることにもなるので、交通事故にも注意しなくてはなりません。
交通量は少なめですが、ドライバーもまさかこんな時間にランナーが走っているとも思わないかと思います。
コース自体は、ここに限らず全体でそうですが、下り坂といっても傾斜はかなり急で、特に体重が重めな自分は歩かざるを得ず、スピードに乗り辛い状況です。
この区間では、5人ほどのランナーに抜かされましたが、この時点でおそらく走っている全ランナーの中では、確証は無いものの後ろから10人以内に入っていそうな雰囲気でした。
エイド近くの道案内スタッフの方が自分を見かけた時には、「おお、こっちこっち」と、久しぶりにランナーを見かけたような様子。
実際、エイドでのランナーの会話やスタッフの声掛けも「リタイア」というワードが節々に聞こえてきます。
このエイド内にはほかのランナーが10名くらいいたかと思いますが、リタイアカーも待機していて、ここでも多くのランナーがリタイアしていたと思われます。ゴールまではまだ10km以上あるので、なかなか微妙な位置になります。
ただしエイドでは、有難いことにまだまだたくさんの食料を提供してくれていました。
残り12km強で残り1時間20分。本来のランニングなら余裕がありそうなタイムですが、計算するとここまで1時間で7kmほどしか進めていません。
相当ラストスパートをかけないと厳しそうです。
諦めの悪い自分は、ここでも「行けるところまで行く」とスタッフの方に伝え、食べ物もそこそこに出発します。
【19】(87.2km/12:38:38)子浦駐車場 ~ 【20】(91.6km/13:15:00頃? ※詳細データなし)吉祥
楽しさ:★☆☆☆☆
辛さ :★★★★★
このウルトラマラソン、これまで数多くのアップダウンがありましたが、いよいよ全コースで最後の峠越えに向かっていきます。
この時はあまり意識していませんでしたが、ここの峠も標高差150mほどあり、日中の山場であったNo.11辺りのダムエリアとほぼ同等になっています。
傾斜自体はダムエリアほどきつくはない印象でしたが、少しでも走るように心がけながら進んでいきます。
途中、道路脇で態勢を整えている男女2人のランナーを抜かしていきました。
おそらく別々の参加ながら、ペースが同じくらいのため持ち物をシェアしたり、かなり暗い夜道の走行を安全に走るために協力しあっていたのではないかと思います。
ウルトラマラソンはギリギリの戦いなので、こんな感じで助けあったり、ペースを確認しあうのもよくある戦術なのかもしれません。
そして峠の頂上のトンネルに差し掛かろうとした時、後ろでその2人が、車で移動しながらランナーの様子を見ているスタッフに声をかけられているのが聞こえてきました。
「…このままだと………、……リタイアカーが……………」
この時、残り1時間を切っていました。このままのペースではおそらく間に合わないため、リタイアを促しているようです。
子浦駐車場エイドでリタイアカーが停まっていたので、この辺りのランナーを回収しながらゴール地点に向かうのかもしれません。
話を聞いている様子では、どうやら2人は最後までチャレンジすることにした様子。
その後、車で移動しながら進んできたそのスタッフが自分の前に降りると、やはりリタイアするかどうか確認してきました。
今のペースだと、1km5分~5分30秒ほどでないと間に合わないとのこと。
「行けるところまで行ってみます。」という言葉の1点張りで、結果、制限時間の19時を過ぎたら何があっても自己責任ということで、何とか続行させてもらうことに。
スタッフとしては、安全のために絶対にリタイアしてほしかったと思いますが、ある種ラッキーだったのは、この時峠をほぼ越えたところで、この後は下り坂になってくること、またもし残り10kmを本当にラストスパートができるのであれば、ギリギリ間に合うタイミングでもありました。
そしてもし近くにこの2人のランナーがいなかったら、続行するという発想がなくリタイアしていたかもしれません。
また、自分たちよりも後ろのランナーは、もうみんな回収されてしまっていたかもしれません。
第二関門直前でペース配分を盗み聞きさせてくれたランナーの存在といい、ほかの方々に勇気づけられながら進んでいきます。
再度ペースを上げて走り始めた下り坂の途中では、自分の前を行くまた別の2人のランナーがいて、同様の確認をされていました。
おそらく彼らはNo.18の一丁田信号手前エイド辺りで一緒だったランナー。
リタイアを促されている中、自分が横を颯爽と(ぎこちなく)走っていきます。ここでも「行けるところまで行ってみます。」と彼らに言葉を残し、前に向かいます。
果たして彼らは続行したのか…?
その後、彼らに会うことはなかったので実際どうだったか分かりませんが、残り10kmになっても、まだまだそれぞれのランナーのドラマは続きます。
この直後には吉祥エイドがありましたが、リタイアをしなかった手前、休まずにそのまま走り続けます。
事実、ここでの5kmくらいの区間は30分くらいでは走れていたのではないでしょうか。
ちなみにこの辺りでは、それ以降ほかのランナーを目にすることはありませんでした。
GPSで、他のランナーの位置をチェックできるようになると面白いですけどね。
コースについては、最後の峠を越えてからのこの辺りからゴールまでの10km近くはずっとほぼ平坦。これまでのアップダウンが嘘のよう。
ラストスパートにはピッタリの環境です。
【20】(91.6km/13:15:頃? ※詳細データなし)吉祥 ~ 【GOAL】(100km/14:34:43)青野川ふるさと公園
楽しさ:★☆☆☆☆ → ★★★★★
辛さ :★★★★★
吉祥エイドを過ぎ、95kmほどまでは、何とか最後の力を振り絞って走り続けます。
途中、後ろから多くのランナーを載せたリタイアバスが後ろから走ってきました。
ここでも「行けるところまで行ってみる。」という、もはやこの数時間その言葉しか発していないのではないか、という言葉を告げると、スタッフの方から安全のためのルミカを受け取ります。
しかし、95kmの案内板の辺りで、完全に足がストップ…。
自己責任で続行させてもらった手前、少しでも迷惑のかからないようにしたいところですが、平坦むしろやや下り坂でも、完全に体が動きません。
少しでも時間を縮めようと早歩きを心がけますが、体が完全にストップ。
そして、残り3kmほどでしょうか。スタート直後のコースと重なる辺り、加納交差点の手前で、無念の14時間の制限時間を過ぎてしまいました…。
無念です。ここで散ってしまいました。
タイトルに「ほぼビリ」とか書いておきながら、オフィシャル的にはリタイアです。
その後は、感情も無く黙々と歩き続けます。
途中、前方に3人グループのランナーが同様に歩いているのを一瞬見かけましたが、この間は本当に何もなし。ただただ街中を歩いていきます。
案内係の方も既に不在で、細かなルートが分からずおおよその方向を進み続けます。
そして、歩き始めて30分以上経ち、スタートから14時間30分ほど経ち、ようやくゴールが見えてきます。
半日以上前にワクワクしながらスタートした会場は既に撤収中。
しかしゴールのゲートも空気を抜いているところを、スタッフの方々に労いの声をいただきながら、感動のゴールをさせてもらいました…!
長い…、長かった…。まじで長かった…。くぅ…。
一緒に参加した知人も迎えてくれて、どっと安心感が湧き上がってきます。
ちなみにその知人、スタート直後に自分と別れた後、第一関門をギリギリに通過しながらもなんとかNo11のダムの辺りまで到達したらしいですが、体調不良もあり、ここで無念のリタイアをしたそうです。
体調不良なのによく走るな。ウルトラマラソンランナーはストイックな人ばかりです。
そして自分がゴールした5分か10分後には、最後の峠越えの際、スタッフにリタイアを促されても続行する気持ちにさせてくれた、近くを走っていた(と思われる)男女のランナーの方々もそれぞれゴールしていました。
この後、自分が会場にいた20時頃までは、おそらくその他にゴールしていた人はいなかったのではないでしょうか。
本当の最終ゴールのランナーは何時着だったのでしょうか。もし彼らが最後だったとしたら、自分は最後から3番目となりますが果たして…?
感動もそこそこに、ちょっとした不安が頭をよぎります。
制限時間を大きく超えたゴールだったので、果たして宿までの交通機関はあるのか?
すぐに宿までの足を確保しなくてはなりません。
どうやら、少なくともそのゴール後20時頃までは、弓ヶ浜エリアまでのシャトルバスは30分間隔ほどで運行されていました。良かった良かった。
宿に戻ると、既に他のランナーが体を休めています。
知人に助けられながらなんとか夕食を食べ、温泉に浸かり、就寝…。
ゴール直後は、
「いやあ、制限時間を過ぎたとはいえ、何とか完走した。うん、もうやり切った。二度とやらねえ!」
なんて思っていましたが、きっとハマってしまうんだろうな、と思います。
膝が痛くて、2018年度中はこれといったトレーニングができないかもしれませんが、知人と既に次の参加に向けて動き始めました。
万里の長城マラソンなんてあるんですね。
それだけウルトラマラソンは、心を揺さぶる何かがあったということで!
【翌日】
9:00に宿から徒歩3分ほどの、集合場所に集まり、新宿からの行きと同じバスで出発。
周りの方々も何人か足を引きずっている様子で、何故かほっとします。
東京へ戻る前には、No.3の手石・伊豆漁港エイド会場となっていた、伊豆(漁協) 南伊豆支所 直売所と、No.4エイドである南伊豆アロエセンター 直売所でお土産購入タイムあり。
みんな結構、海産物を中心に購入していました。
自分もアロエセンターで乾燥ワカメを購入。
後から気付きましたが、ウルトラマラソンの参加賞であったんですね。少し失敗してしまいました。でも美味できっとヘルシーです。
また、この行き返りで、序盤に実際に走ったコースをバスが走るので、知人とその時の思い出話などを楽しめます。
帰りも横浜経由で、新宿に着いたのは16時頃だったでしょうか。
バリアフリーの大切さが身に沁みながら、自宅へと帰路につきます。
お疲れ様でした!
【反省】
●後の公式動画によると、完走率は78%ほど(おそらく100kmは少な目)。思ったよりも多いですね! さすが!
●ランニング装備は、以下の通り。
・上半身:SKINSロングスリーブ&公式Tシャツ
・下半身:SKINSロングタイツ&バスケットボールパンツ(ポケットがあったので、ヘッドライトやエイドでもらえる軽食を持ち運ぶのによかった)
※気温が高かったので、夜間も含めて特に問題なし。もし雨が降った時の対策は、現状アイディア無し。その場合はウィンドブレーカーなど格納できるランニングバッグが必要? 他の方のブログなどを見ると、序盤にあるコンビニでカッパを購入していたりしていますね。
※SKINSの型は旧式のためか、検索してもヒットせず
※帽子は無かったが、日差しが強い場面もあったので、被っていた方がよかった。
●装備品は以下の通り。個人的には特に不都合なし。
とにかく持ち物を少しでも軽くしたことが功を奏したかもしれない。
・ランニングポーチ
・ボトル
※エイドには基本紙コップ無し。スポーツドリンクだろうがコーラだろうが、全部所持していたボトルの中に入れてもらう
・ヘッドライト
※日中はバスケットボールパンツのポケットに入れて持ち運び
・スマートフォン
・イヤフォン
※精神的に参った時の元気付けとして
・ジップロックに入れた貴重品
※カード類、お札、自販機利用のための小銭
・アミノバイタル
・テーピング
※残りのアイテムはスタート&ゴール会場の預け荷物で保管
ランナーの中には、ボトル代わりのコップをクリップで帽子に止めて完全手ぶらで走る猛者も。
また、100kmでも仮装ランナーがいる。そして大体みんな早い。
●ワセリンは必須。
●スマートフォンは登山同様に、基本機内モードにしてバッテリー消耗を抑える。モバイルバッテリーなんて運びたくない。
●走る前に足の指の周りにテーピングを巻いていたこともあってか、特に豆はできず。これは本当に良かった。
また、下り坂が多く足先に力が入りがちなので、靴ひもはなるべく足先に空洞を作り、体重がかからないよう足首をしっかりと固定した方が良さそう。
靴擦れが心配だけれど、そこは事前のテービングでカバー。
●トイレはおそらく全エイドにあり。少なくとも男性は小であればそれほど並ばない。スタート地点では、何故か仮設の方が混んで、元の常設トイレがすいていた。
道中にもところどころあるが、初参加の場合はエイドにしかないと思っていた方が無難。記憶の限りでは、道中の公衆トイレは以下にあった。
・No.2エイドの先10分後くらい
・石廊崎
・No.7エイドの手前3分くらい。
・No.14エイドの先15分後くらい
●エイドでは、基本飲食物が無くなることは無かった(撤去が迫っていた猪肉BBQは除く。…ああ…残念…)
ただし、最後の方の到着だった自分の場合はコーラなど、一部の人気商品は無くなりそうだった。
●自販機は走っている途中も時々目にするが、辛い場所ほど無い。自分はエイドでの休憩で炭酸が飲みたくなった時に2回ほど利用。やはりエイドの辺りほど、自販があることが多い。
●初心者は、急な登り坂は諦めて早歩き! なお、まともに走れる区間はかなり少ないので、平坦な道は貴重なものと思った方が良い。
坂の角度のイメージは、東京なら神田川の辺りから一気に目白や池袋の方へ登るくらいの急坂。それが何度もやってきます。
●時間内ゴールのためには、前半で時間をかせいでおきたい。後半は坂ばかりでまともに走れず。
自分ぐらいの体力だと、No.11青野大師ダム駐車場到着が6時間30分(11時30分)が、本当のデッドラインの印象。できればもう少し早く着いておきたい。
●複数人で参加する時はゴールする時間がバラバラになるので、会場から一緒に帰るでも約束しない限り、部屋の鍵を誰が持つか問題が発生する。一緒に帰る約束をしても、体調不良などのやんごとなき事態も発生する可能性あり。当日の出発は深夜になってしまうので、前日に宿の人と確認して、いい具合の鍵の預け方を確認しておいた方がよい。民宿なので鍵入れBOXなどが無い場合があるかも。